ゼネラリストとスペシャリスト

企業における人材育成を考えていく上では、彼をゼネラリストとして育てるか、それともスペシャリストにするかによってその方法が大きく異なることを意識しなければならない。

ゼネラリストとは企業経営者・管理者であるので、当然経営全般の知識を習得するとともに、同僚や部下といった周囲の人間に影響を与えるためのヒューマンスキルやコミュニケーション能力が求められ、組織決定を下すべき判断力、決断力も必要とされる。つまり組織を一定のベクトルに向けるためのリーダーシップをどう見につけさせるかがゼネラリスト育成のキーとなる。従って、ゼネラリストは、向き不向きがあり、教育次第で誰でもなれるというものではない。性格を見抜き、選抜をした上で、CDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)に乗せていくことではじめてゼネラリストの人材育成は現実のものとなっていく。

一方、スペシャリストは、ゼネラリストのようなヒューマンスキルやコミュニケーション能力は必ずしも求められるものではない。周囲の者に影響をあたえるべきリーダーシップも、必ず必要かといえばそうではない。そういった意味では努力次第で誰でもなれる可能性があるのかもしれない。ただし、そうした努力を積み重ねるだけの根気や探究心、向学心、責任感といったものが備わっていないと難しいことはいうまでもない。ゼネラリストは広く浅くということに対して、スペシャリストは深い知識やスキルが求められる。そういった専門性の高い知識やスキルを身につけさせるための育成プログラムは、人事部では組み立てることはできない。それらは、各部門で考えていかなければならない。(プログラム構築のアドバイスは人事部の仕事であるが)

このようにゼネラリストとスペシャリストは、その特性が大きく異なるので、全く別系統の教育システムを考えていく必要がある。これらを識別しない教育方法では、良好な効果を導き出すことは難しい。人事の教育担当者はこの点を留意して施策を考えるべきである。