主婦年金問題

夫が脱サラやリストラでサラリーマンをやめた際の手続き不備で年金保険料未納となっている主婦への取り扱いが公平さを欠くとして社会問題となっている。サラリーマンの妻が専業主婦である場合は、第三号被保険者として取り扱われ、年金保険料を支払う必要はない。しかし、夫がサラリーマンをやめて、自営業者に転進したり、失業期間中であったりしたときには、夫自身が第2号被保険者から第1号被保険者に変更されるのにあわせて、妻も第3号被保険者から第1号被保険者に種別変更をする必要がでてくる。第1号被保険者は当然に保険料の納付が要件となる。

今回、この種別変更手続きをせず、年金保険料が未納となっていた主婦に対して、過去2年間のみの保険料追納をすれば、それ以前の未納期間は不問として将来の年金受給を保証するという通達が厚生労働省より出された。これに対して、同じ状況でしっかりと手続きをして正直に保険料を支払ってきた者がバカをみるとして、巷間、不公平感が高まっている。当然のことである。年金制度が一番力点をおかなければならないのは公平性である。この点を著しく損ねた措置といわざるをえない。

それにもまして問題視せざるをえないのが、このような大きな影響を及ぼすべき取り扱いを通達一本で済ませたことである。通達は法律の解釈として公務員の一存で出すことのできるものであるが、今回の事例は法律の解釈を超えた問題だ。かかる取り扱いを通達で済ませたら世間からクレームがつくに決まっているということを想像することができない神経を疑わざるを得ない。通達の使い方はひとつ誤れば国民に大きな害を及ぼすことになる。そのことを心してもらわなければならない。