組織はどうして老化現象がおきるのか④

四つ目の理由としては、組織規模が拡大していくことに伴う、組織での意思決定スピードの低下が挙げられる。これは組織が誕生すると同時に始まる問題である。例えば創業者が組織を形成する前に個人事業主として事業を営んでいた時代には、創業者一人で全てを決めることになるので、彼が思い立って、こうしようと決めた瞬間、意思決定は成就される。その後、事業に仲間を巻き込み組織にすると、仲間のメンバーとの意思のすり合わせが必要となる。その時点で、意思決定スピードは少し落ちることとなる。

それでも、メンバーが何を考えているかも理解でき、組織内で目の行き届くうちであれば、何かを決めるのにも、それほどの時間がかからないだろう。ところが、組織が数百名の規模になってくると、完全に階層化されることとなり、途中でフィルターがかかりコミュニケーションも思うがままには取れなくなる。さらに、株式会社が株式公開などをした場合には、組織が創業者のものではなくなり、外部の株主を始め、様々な意見が組織に押し寄せてくることとなる。こうなってくると調整にはきわめて多くの時間が必要となってくる。こうした調整をうまくコントロールするためには、組織内での情報制御のあり方が問われることとなる。これは経営組織論の枢要部分だ。

ただ、多くの組織ではうまく機能させることはままならない。意思決定スピードが著しく低下をしていくと組織の動きは鈍くなる。環境変化が速ければ速いほど、流れについていくことができないこととなる。こうして組織内で病巣が広がっていくのである。