No.2人材の確保法②

No.2人材は、社長とクルマの両輪となり会社の舵取りをしていくわけで、社長と気持ちが通じ合い、阿吽の呼吸でコンビを組める者が望ましいことは言うまでもない。そう考えると、創業時点でそのような気心の知れた人物を、社長と交流のある人物の中からピックアップをしていくのが一番であろう。つまり事前調達なので、内部調達という表現とちょっと違うように見えるかもしれないが、社長の人脈もひとつの内部情報資源だとすれば、やはりこれも内部調達である。というより、むしろこれが内部調達の極みと言えるかもしれない。こうした人物を創業期よりピックアップできれば、その会社が急成長をする可能性は非常に高くなると言えよう。

また、創業期から少し時間が経っている場合でも、やはり社長の人脈から、No.2人材に適う人物を招聘していくというのでも勿論構わない。ただ、その場合は創業期から関与した他のメンバーに、しっかりと説明をすることは不可欠だ。創業期のメンバーは、多かれ少なかれ、自分たちが会社を作ってきたというプライドがある。そこに「社長の親しい友人だから、今日から君たちの上司になってくれ」という流れは、そうしたプライドを傷つける可能性があるからだ。従って入社前から創業期のメンバーたちと交流を深める機会をつくるなどの工夫もすべきだろう。ただ、これも時と場合に依るかもしれないが、原則としては、No.2人材を会社に招聘した段階で最初のうちはいわゆるお試し期間的にポジションを与えないでおくということは、するべきでない。やはり最初からNo.2としてのポジション(…つまり責任と権限)を与えて、その上で、社長がしっかりとフォローをしていくということをするべきだろう。

社長よりも年齢が相当程度に若い者が創業期のメンバーの中にいて、彼のポテンシャルがNo.2になる可能性を秘めているような場合には、創業期にはNo.2のポジションには据えずに、一定の時間を経てからNo.2にしていくということもありうる。こうしたケースでは、徐々に実績を積ませていき、また、自己啓発の機会を与えていき(前項にて社長自身がNo.2を教育することは難しいと言ったが自己啓発の援助はできる)時機を見計らった上で、No.2にしていくということになろう。

このように書いたのを見ただけでは簡単に思えるかもしれないが、実際にこうした人材確保を行うことは、いずれの場合にせよそのハードルは非常に高い。特に内部調達の場合には、社長の人徳や人柄、そして運が作用しそうである。一つできることがあるとすれば、創業前からできるだけ意識的に人脈作りを行うということであろう。また、社長が二世の場合や、内部昇進による場合には、企業内部およびそのステークホルダーとの交流のみに埋没することなく、会社とつながりのない外部世界との交流を意識的に行うということが大切だ。