大隈講堂

大隈講堂は、大隈重信が死去した後、その功績を称える趣旨にて建造されたもので、今日においては、早稲田大学の象徴といってよい。これは東大の安田講堂、慶応義塾の図書館に相当するもので、例えば予備校が作った早慶コースなどのパンフレットの表紙には必ず慶応の図書館と並んで載せられている。私自身早大OBだが、大学に入学するはるか前から、(おそらくはもの心ついたあたりから)この講堂の時計台の鐘の音を聴いて育ってきた。この時計台の鐘はロンドンのビックベンのものと同じであり、複数の鐘を組み合わせてハーモニーある音色を出すものとしては日本初のようである。時計台の高さは、125尺。これは大隈重信の人間125歳説(健康を堅持すれば人間は本来125歳まで生きることができるというもの)から来ている。因みに最近大隈講堂の向い、旧第二学生会館跡に建てられた大隈タワーは大隈講堂の時計台の高さの倍である250尺となっている。

大学時代の地方出身の友人が良く言っていたことをいまでも覚えている。「早稲田志望であった自分は受験中に毎日のように大隈講堂の写真を見続けて自分を励まし勉強を続けていた。受験のために上京し、穴八幡方面から南門通りを通り、見えてきた時計台の姿は鮮烈であり動悸の高鳴りを覚えた」そうである。

今日では重要文化財にもなっているわけだが、恐らく牛込エリアの中にある建物の中で、一番有名なものであることに異論はないだろう。