演劇博物館

早稲田大学構内にある。正式名称は早稲田大学坪内博士記念演劇博物館という。通称は略してエンパクといっている。大学の構内整理上の号数は5号館である。
その名の通り、日本近代文学の父、坪内逍遥がシェークスピア全集を完成させた記念として建てられたものである。坪内逍遥は「小説神髄」や「当世書生気質」などの作品を残し、作家としての側面を持つ一方、東京専門学校(早稲田大学)の英文学教授という顔をもつ。特にシェークスピアなど劇文学研究にその大いなる足跡を残している。従ってこの建物も近世イギリスの劇場をイメージして造られた。建物の脇には坪内逍遥の銅像が立っている。
中に入ると、本当に異国情緒に包まれた空間そのものである。少しカビ臭い感もあるが、荘厳な雰囲気とともにタイムスリップ感を味わうことができる。現在は塗装を施し直したことから、きれいな白い壁が目立っているが、以前には蔦が一面を覆っていて、それはそれで趣があったものである。一般にも公開されているので気軽に中を覘くことができる。