組織はどうして老化現象がおきるのか①

企業組織に老化現象が現れるのはなぜか。筆者としては、①環境変化への不適応、②創業ビジョンの風化、③組織ルールの手段化、④意思決定スピードの低下、という4つの理由があると考える。

一つ目の大きな理由は、環境の変化に対応できなくなるということである。企業組織も当然、社会的、経済的環境の中に存在するわけで、環境が変化していったら、企業としての姿勢、戦略、組織スタイルなども合せて変えていかなければならない。しかしながら、人間はどうしても従来のやり方を変更することには大きな抵抗感を覚えるものである。このパターンでは、創業者自身がトップであるうちに急速に組織を老化させてしまうというケースが多い。創業期に強烈に成功してきた場合、創業者自身が変えることに大きな抵抗をしてしまう。ダイエーの中内功が象徴的な事例だ。創業期の安売りにより世の中を豊かにするというメッセージがあまりにも強く、それに固執した戦略を継続していき、環境がバブル経済を経て飽食の時代になっているにもかかわらず、それに対応した経営施策を打っていくことはできなくなってしまったのである。

環境変化への適応という観点は、単一企業組織ということのみならず、業界全体としても捉えなければならない。産業構造の変化はまさにこの点の結果としてもたらされるものである。単一企業組織の立場から考えると、必要に応じては、その業界から足抜けをするというしなやかな行動もときにより求められるのである。それができないとあっという間に組織として重病患者となってしまうこともありうる。