外国人排斥問題

今回の参議院選挙は、外国人問題が大きくクローズアップされた。参政党が「日本人ファースト」ということを標榜し、これまで何となく口に出すのをタブーとしてきた外国人に対する嫌悪感を一気に表出化させてきた。そして、一部の国民はこれに賛意をもって反応し、わが国でもいよいよ右傾化の波が訪れたのかという実感がわく今日この頃である。この「日本人ファースト」というキャッチフレーズ、当然ながら、トランプ共和党の「アメリカファースト」を意識してのものだろう。各国が自国のベネフィットを優先するということについては、すべてを否定するものではないが、全面的になると利己=排他という意識が加速していくことになる。国際協調は、一定レベルの利他主義がベースにないと展開できない。現に、超大国であるアメリカが利己的な動き方になっていることが、ここまで育んできたグローバル社会の枠組みを大きく棄損させようとしている。
外国人問題は、国民の感情面には訴えやすいところがある。確かに外国人観光客がいたるところで目にするようになり、中にはモラル上で問題となる行為が目にすることもあるだろう。筆者自身もすぐ近所に外国人用の民泊ができて、夜でも騒がしいことがあり、眉をしかめるときもある。しかしながら、これは慣れていないだけという見方もある。こんなに多くなったと思っている外国人環境客数だが、ロンドン、ニューヨーク、パリなどに比べると、東京はまだまだ全然少ないようだ。経済面からみれば、外国人の観光客が増加することはありがたいことだ。問題についてはしっかりと抽出をしていき、一定の枠組みを作っていきながら制御をしていく余地はまだ沢山あるだろう。
一方、在留カードがある国内就労外国人は、この外国人観光客問題とは一線を画してみていかなければならない。このコラム欄で何回も言ってきているが、彼らは、今後、わが国の経済を支えてくれる貴重な労働力なのである。国も移民という言葉は使わないものの、問題の多かった技能実習制度を新たに「就労育成制度」に変えていき、「特定技能制度」と組み合わせることで、長期的な就労が可能な仕組みにシフトさせようとしつつある。経済の下支えをしてもらえるよう、より多くの外国人を日本に招き入れ、定着させていく必要がある。そんな動向の中、“十把一絡げ”に「外国人は嫌」という空気を作ろうという政党がでてきて、それなりに支持されている現状は、まさに由々しき事であり、衆愚政治になっていくのではという危機意識を強く感じている。シリア発の難民問題が着火点となり全域に及んでいるヨーロッパの外国人排斥問題と比べて、島国であるわが国は難民が大挙して押し寄せてくるということもない。ここは国民みんなが冷静に判断できるかどうかが強く問われている局面だ。