厚生年金の支給開始年齢

昭和37年9月生まれである私の場合、厚生年金は65歳からでないと支給されない。厚生年金の支給開始年齢は、従来60歳であったものを、国民年金の支給開始年齢65歳と合わせるため長い期間をかけて段階的に上げていくことになっている。最初に定額部分の支給開始年齢を60歳から65歳に向けて上げていき、その後報酬比例部分をあげていく。完全に開始年齢が65歳となるのは昭和36年4月2日以降の者であるから、そこから判断すると私の生年月日では、65歳開始年代のハナということになる。これがこれまでのシナリオであった。

ところが直近に出された厚生労働省案では、このシナリオを書き換えるという内容のものになっている。3つの案が提起されているが最もドラスティックな第3案については、引き上げのスケジュールを前倒しした上に、最終段階での支給開始年齢についても68歳としていくものになる。この第3案となった場合には、私が年金を貰えるようになるのは65歳ではなく68歳となる。

これは、いささか腑に落ちない。後出しジャンケンの嫌いがあるのではないか。たしかに、支給開始年齢を上げていくという潮流は将来的に見て避けて通れないところがある。諸外国を見ても、アメリカやドイツ、オランダなどでは67歳、イギリスでは68歳と支給開始年齢を段階的に遅らせようという動きになっている。他国より高齢化のスピードが著しいわが国では最終的な支給開始年齢は先々の中では67歳もしくは68歳位になるのではないかとは思っていた。しかし、今まで決めていた支給開始年齢を段階的に上げていくそのペースまで変えていってしまうというのは、国として国民との約束を反故するものであり、納得を得るのは極めて難しいことである。年金保険料を支払うモチベーションというものが著しく低下している昨今の中で、こうした“吹っかけ”ともいえる案が横行するのは、多くの国民が年金に対して懐疑的な思いを強めるだけのことではないだろうか。