人事評価について

組織で人が人を評価する。どこの会社でも当たり前のように行われていることだが、本当に困難なテーマだ。評価とは客観的でなければならない。その通りである。しかし、本当に客観性を担保できるのか。どんなに評価者訓練をしっかりと受けても、やはり人間なので主観が入ってしまうのが人の常だと思う。例えば、とても嫌いで見るのも厭な人だが業績は良い人が部下でいたとしよう。あなたはその嫌いな人に対して客観的に見て高い評価を下すことができるだろうか。その人の顔を見ると虫唾が走る、そんな人だとしたら。その人に高い評価をつけることができる人は本当にクールな方だろう。普通はやはり意図的に欠点を探して、それに即して下方修正のされた評価をつけてしまうのではないだろうか。

評価をする上で陥り易いので十分注意すべきといわれるいくつかの傾向がある。その中の代表格がハロー効果だ。嫌いな人の評価点を下げ気味にしてしまうのはまさにこのハロー効果によるところだ。「坊主憎けりゃ袈裟まで」という心理が働いてしまっているわけだ。

評価者訓練ではこうした傾向に嵌らないように注意すべしと言われる。確かにその通りなのだが、果たして注意しようと思ってできるものなのだろうか。人間の心理は自分でコントロールの利かないところが多分にある。それは致し方のないところだと思う。問題はその誤差の大きさが極端に大きくならないようにするという点である。ハロー効果は多少あるとして、でも好業績の事実を無視するようなことはしない。こうしたスタンスには必ず立ってもらう。後は2次評価者がフォローをすれば人事評価としては70点にはなる。100点を取ろうというのが土台無理なのである。人事評価は70点で良いと思うところから始めないと、結局絵に描いた餅になってしまう。良く評価制度を作ろうというときに、完璧な制度を描こうと考える人がいるが、制度を完璧にすればするほど、絵空事になってしまうのが、「人が人を評価する」ことだということをしっかりと認識すべきだろう。