No.2人材の確保法①

一定の規模になったら、社長はきっと喉から手が出るほどほしくなるNo.2人材だが、そう安安と確保できるものではない。大別すれば外部から調達するか、内部人材を据えるかだと思うが、どちらも簡単なことではない。

外部からの調達ルートで一番ポピュラーなところは、人材紹介会社を利用してヘッドハントしてもらうということだろう。この場合、予め役割として担ってもらうポジションに必要な職務遂行能力を人材紹介会社に伝えておき、それに適った人材を連れてきてもらい面接をしていくということになる。この場合、通常の採用審査と異なる留意点がある。それは、彼に求める高い期待値というものを採用段階でしっかりと伝えておくということだ。何せNo.2にするための人材採用であるわけだから、当然、ハイスペックなものを求めて当然だ。ただ、そのことを採用段階でしっかりと伝えておかないと、入社後に期待像から著しく低いレベルであることが判明した段階で、辞めてもらうことができなくなる。勿論、結果的にNo.2にはなれないが、他の使い道があるという場合は無用な心配となろうが、そうでない場合には、退職勧奨や解雇をする必要に迫られることも十分考えられる。そのときに、解雇権濫用に問われないためにも、採用前に、「No.2としての期待値」をしっかりと示しておき、それに大きく満たない場合は、辞めてもらう可能性も予め示唆しておくべきである。No.2の機能は前項でお伝えしたとおり、参謀型にせよ、フィールド責任者型にせよ、社長とは違う職能を有しているからこそ、その存在意義を発揮できるわけで、裏を返せば、社長が直接教育をすることが難しい。従って、期待はずれの人材を抱えていても、人材育成することが難しい場合が多い。よって、このような逃げ道は必ず拵えておいた方が望ましいのである。

外部調達のもうひとつの代表的ルートは、メインバンクからのバンカー人材供給だ。メインバンクからすれば、当該行員の出向または転籍ということになる。ただし、これは原則として参謀型に限られることになる。(※事業フィールドが金融関連事業の場合にはフィールド責任者型でも可能性があるが。)通常は、経理部長、財務部長、あるいは管理部長といったポジションに据えておき、実務を見てもらいながら参謀の機能を果たしてもらう。昨年話題になった池井戸潤の「下町ロケット」に出てくる経理部長がこれだ。TBSのドラマでは、立川談春が好演していた殿村部長は、阿部寛演じる佃社長の良き相談役であり、時には苦言を呈したりもして、経営の軌道修正をしていく。まあ、実際にはこのような優秀で熱い人材がそうそう来てくれることはないかも知れまいが、バンカー出身であれば経営の数値面を押さえているスペシャリストであることは間違いないので、一定の機能は期待できる。ただ、銀行からこうした人材を招聘した場合、メインバンクとのお付き合い上、いろいろな制約が出てくる可能性があることは、デメリットとして押さえておくべきだろう。

いずれにしても、外部人材は、入れてみないと分からないという点が弱みだ。気心が知れた関係をつくることが大切であるわけで、そういったことを考えると、外部からの調達にはリスクがある。そういった意味では、まずは内部調達の方向で検討していくのが、定石かと思われる。(次項に続く)