社長の片腕…No.2人材

前回は社長のポテンシャルについて私見を論じたのだが、たとえそこで語ったような高いポテンシャルを具備した社長であったとしても、一人の力で会社の業績を伸ばし続けることには早晩限界が来る。社長一人の力で会社として高いパフォーマンスを出せるのは、業種にも依るだろうが、従業員規模でいえば概ね20名程度までではないだろうか。一定の規模になれば、必ず社長の片腕たるNo.2の存在が不可欠になってくる。

この時点でのNo.2の役割別にみた類型としては、大別して次の2つがある。一つは参謀型、もう一つはフィールド責任者型だ。

参謀型に求められるNo.2の機能は、“相談相手”である。つまり社長の持っていない知識、情報を有しながら、それらの知識、情報を社長に提供することで社長の決断にコミットしていくものである。当然、それらの知識、情報は戦略的なものである必要がある。戦略的とは、単なる情報ではなく、分析検討することで洗練されたものにしていくということだ。よく社長業は孤独との戦いだと言われるが、参謀型のNo.2がいれば、そうした悩みは解消される。

一方、フィールド責任者型というのは、例えば、社長が開発者である場合に、営業部門を引っ張ってもらうというような存在である。(もちろん、これにはいろいろな組み合わせがあるだろう。)この場合、社長はNo.2と二人三脚で企業運営を推進していくことになる。

こららの類型を別々に説明したが、同一人物が、この両方の機能を持つのであれば、それに越したことはない。当然、それが最強のNo.2だ。

以前、当コラムにおいて、漢の劉邦の部下における3機能の話を紹介したが、今回の話をそれに当てはめると、「参謀型」が 張良 、「フィールド責任者型」が 韓信 ということになる。あそこではもうひとり 蕭何 が登場するわけだが、彼は組織内調整担当であった。これは、もう少し組織が巨大化したときに必要となる機能なので、ここでいうところの企業規模ではまだ必要にはならないだろう。

会社を大きくしようと考える場合には、こうしたNo.2がどうしても必要となる。ベンチャー企業で成功した企業にも何らかの形でNo.2は存在したと思う。例えば、創業期のソニーでいえば、井深大に対する盛田昭夫がこれにあたる。本田技研工業の名参謀と言われた藤沢武夫も、本田宗一郎のかけがえのないNo.2であった。

さて、このようなNo.2の人材をどのように作っていくべきか。これは、なかなかハードルが高いものと言わざるを得ない。次回は、この問題を取り扱う。