組織全体での技術不足にはどんなものがあるか。
前回も述べたが新たしい組織の構成員は意識が高い分、自我も強い。「自分こそはこの組織のためになることをやるのだ」という意気込みは良いのだが、強すぎると視野が狭くなり、他者の取り組みを認めないということが起きやすい。そうするとどうしても構成員間でのコンフリクトが生じやすくなる。コンフリクトの発生自体は必ずしも悪いものとは限らない。複数のコンフリクトが発生し、それを吸収していく中で、より高い次元での取り組み内容に昇華させていくということもある。また、コンフリクトを抱えて、それを解決するということを繰り返していくことで、はじめて組織として成熟していくことができるという側面もある。いわゆる「雨降って地固まる」ということがこれにより実現する。
しかしながら、組織内に過剰のコンフリクト状態が継続すると、内向きのエネルギーを使い続けることとなり、組織運営上の効率を大きく低下さえることになる。また、構成員の精神状態に悪影響を及ぼすことにもなりかねない。構成員間が疑心暗鬼になってしまうと、共通の目的をもち取り組みを進めるということは困難となっていく。
こうしたことにならないためには、コンフリクトの解消テクニックを組織として身につけなければならない。具体的には、解決のための分析手法や討議方法などの技術が必要となってくる。成熟した組織であれば、こうした技術は意識せずとも自然と蓄えられており、解決が図られていくものである。しかし未成熟な新しい組織では、その方法を理解している構成員がいないか、少ないために、どうしても沢山のコンフリクトを組織内に溜め込んでいき、結局組織に害を与えることとなる。