古い組織と新しい組織⑤

一定の組織には当然リーダーというものが存在する。それなくしてはあるべき方向に組織ベクトルを向けることはできない。ただ創業期では、このリーダーシップのあり様次第で、組織をだめにしてしまうという例は枚挙に暇がない。

往々にしてあるのは、リーダーシップが不足したケースである。創業期にはリーダー以外のメンバー一人ひとりが組織にとっては大きな存在であるので、構成員の間での意見をリーダーが調整することに難航する場合が多々ある。つまり各人のエゴが衝突しやすい状態となっているのである。最終的にリーダーが決断をしなければならないわけでだが、この決断ができずにダッチロールをしていくと組織の力はあっという間に衰えてしまう。ここではリーダーが調整方法(打ち合わせの手法、タイミング、説得技法、妥協点の模索など)を理解しているかどうかに係ってくる。つまり、リーダーシップの技術力が問われる。新たしい組織であると、経験が少ないことからこうした技術が一定レベルに達していないことが多い。

逆に、リーダーのコミットメントが強すぎた場合にも、かえって組織力を弱めてしまうことがある。出来立ての組織では、何とか頑張らなければとリーダーが張り切るというケースは、容易に想像できよう。メンバーの意向をしっかりと踏まえた中で、引っ張っていくのであれば問題ないが、お節介なまでにメンバーの取り組み方に干渉していき、やる気をなくさせるなど、引っ張り方が空回りをしていくとやはり組織は萎んでしまうことになる。