債権の時効統一など民法が大きく変わります

平成29年6月に「民法の一部を改正する法律」が公布されました。
民法は、制定以来約120年が経過しており、社会や経済の変動に対応できないところが多くありました。そこでこのたび、民法のうち債権部分の規定を中心に法改正が行われました。労務管理にも関連するポイントの概要は以下の通りです。

①消滅時効を5年に統一
労働債権については従来の消滅時効は1年でしたが、今回すべての債権について消滅時効は原則として「権利を知った時から5年」に統一されました。これにより労働基準法で規定している消滅時効2年と逆転現象が生じてしまうことから、労働基準法の消滅時効も延長される予定です。

②法定利率の引き下げ
契約の当事者間に利率や遅延損害金の合意がない場合は法律の定める利率が適用されます。現在民法が規定している法定利率は「年5%」です。しかし昨今、市中金利が低い状態が続いています。
法定利率についての不公平感を是正するためこの利率が「年3%」に引き下げられ、将来的にも市中の金利動向に合わせて変動する仕組みが導入されました。

③個人保証の制限
第三者が安易に保証人になってしまうという被害を避けるため、個人が事業用融資の保証人になろうとするとき、公証人による保証意思確認の手続きが新設されました。この手続きを経ないでおこなった保証契約は無効とされることになりました。また、身元保証契約については保証額の上限を契約上明記することが求められます。