男女賃金差異の開示が義務化されました

令和4年4月1日付で改正女性活躍推進法が施行され、従来は従業員数301人以上の企業が対象だったものが、101人以上の企業に対象拡大しました。この女性活躍推進法は、①自社の女性活躍に関する状況把握・課題分析、②一般事業主行動計画の策定・届出・周知・公表、③女性活躍に関する情報の公表、等を目的として平成27年9月に制定されたものですが、今回の改正では、③の情報公表の項目に「男女の賃金の差異」が追加されたことが、ポイントとなります。ただし、今改正では、従業員数101人以上300人以下の企業については、「男女の賃金の差異」については、努力義務となっています。(301人以上の企業は完全義務化です。)

この「男女の賃金の差異」の内容ですが、全労働者ベース、正規雇用労働者ベース、非正規雇用労働者ベースの3つに区分して公表することが求められます。なお、公表数字は形式的に表示されることになりますので、備考欄を設けて、個別の事情(例えば、「女性の比率を高めるために女性の新卒強化を実行した結果、女性の平均値が下がった」等々)について積極的に説明をしていくなどについては可能となっています。

我が国の男女間賃金格差は22.5%(2020年時点)と欧米に比べてかなり大きなものとなっております。これは、女性の管理職が13%と著しく低いことや、出産、育児、介護などによりキャリアを中断してしまうこと、仕事復帰時に再就職する際、非正規労働者に転じる比率が高いことなど、女性の社会的ポジションに関する環境がいまだ整っていないことに起因するものです。公表を通じて、企業にこれらに関する意識変革を促すということが、今改正の最大の狙いとなります。