矢来町にある大手出版社である。神楽坂駅から出て牛込中央通りに入るとすぐに大きな社屋がそびえ立つ。(ちなみに牛込中央通り沿いには、牛込北町寄りに旺文社もあり、出版社ストリートの様相を呈している。)ダークグレーの社屋は重々しく、子供のころからここを通るたびに、「固そうな会社」だという印象を感じたものである。大人になってみても新潮社の固そうなイメージは変わらない。他の週刊誌の表紙は写真なのに週刊新潮は昔からずっと絵だし、週刊新潮、新潮(月刊)ともに保守的な姿勢を崩さない雑誌である。しかし一方で出した記事がたびたび名誉毀損などの訴訟沙汰になるなどの過激さも併せ持った出版社である。今は休刊になってしまっているがかつては一世を風靡した「FOCUS」にしても、過激な写真を掲載し、講談社擁する「FRIDAY」とバトルを繰り広げていた。この辺りはイメージギャップといってよい。
創業は1895年と、講談社や小学館などの他の大手出版社と比べても断然と古い。新潮文庫も今日ある文庫版書籍の中では、もっとも古いものである。(岩波文庫が1927年の創刊に対して新潮文庫は1914年である。)まさしく日本を代表する老舗の出版社だ。