夏目坂

早稲田駅の出口がちょうどこの坂の下となる。坂を上っていくと、若松町の交差点までたどり着くのだが、夏目坂という呼称の坂は、喜久井町の範囲である。「夏目」とは、いわずと知れた夏目漱石の実家がここにあったからである。喜久井町という地名も、実は夏目家の家紋が井げたに菊であったので、その名になったというらしい。

夏目家はこの界隈の庄屋であり、地元の名士であった。武家ではないので身分は高いわけではないが、今で言う中産階級ということだろう。確かに漱石の小説の舞台設定は明治時代の中産階級の人たちが中心だ。

夏目漱石はやはり地元早稲田では超特別な存在で、小学校のとき特別授業の「郷土史」では、まさに漱石オンパレードであった。因みに、この坂の下に漱石誕生の地という石碑が立っている。(先に書いた小倉屋の隣りに位置する)漱石については、改めて書きたい。